ダマスクローズ(Damask rose)は「香りの女王」と呼ばれるバラの中でも、その香りと利用価値の高さから「バラの女王」と呼ばれるバラです。
学名を「ローザ・ダマスケナ(またはローザ・ダマスセナ):Rosa damascena」といい、2万種以上とも言われるバラの中でも8種類しかない原種バラの1つです。
同じく原種バラであるローザ・ガリカと、ローザ・フェニキアまたはローザ・モスカータとの交配でできた種と言われ、強い甘さの中にラズベリーやピーチのようなフルーティな香りを持っています。
ところで高品質なダマスクローズの産地といえば多くの人がブルガリアを挙げるのではないでしょうか。
しかし、さらに香りに優れたダマスクローズが栽培されている国があります。
それが「イラン」です。
ダマスクローズは別名「ペルシアンローズ」と呼ばれ、原産地と言われているのがペルシャ(現在のイラン)です。
ダマスクローズの「ダマスク」はシリアの首都である「ダマスカス」から来ていると言われていますが、イギリスのバラ学者グラハム・トーマスの著書では、地名のダマスカスではなく、紋織物である「ダマスク織」から来ているとも書かれています。
また、アメリカのバラ史家であるハンブリンによると、初めペルシャからダマスカスに持ち込まれ、そこからフランス十字軍のロベール・ド・ブリーによってヨーロッパに持ち込まれ、広まっていったと考えられているのです。
ダマスクローズの栽培の起源は現在のイランであるペルシャ帝国やメディア王国(シラーズとその周辺地域)で、紀元前12世紀ごろゾロアスター教徒によって始まったとされ、ダマスクローズで香り付けされた水(バラ水)を宗教儀式に用いていたと言われています。
信仰が広がるとともにバラ水の需要が高まり、シラーズに続いてカシャーン地方でもダマスクローズの栽培が始まりました。
シラーズやカシャーンは現在でもイランでは高品質なダマスクローズの栽培地になっています。
まさにイランは、歴史と伝統に裏付けられたダマスクローズの一大産地なのです。
日本のみなさんはイランがダマスクローズの一大産地だと知らなかった人も多いと思います。
実はイランは「天然資源の宝庫」「農業大国」と言われながらも、政治的な事情(経済制裁など)で各国への輸出が制限されており、現在でも日本などに持ち込むには高い関税が課されるなどして、良質なイランの資源や産物をたいへん輸出し辛い状況にあります。
そのため入手が大変難しく希少であるため、高品質なダマスクローズであっても情報が出てこなかったのです。
もう一つ、イランのダマスクローズがさらに希少となっている理由があります。
それはダマスクローズを最高の品質にするために大量生産ができない野生の状態で育てていることです。
ではなぜ野生の状態で育てると最高品質になるのでしょうか?
原産地がイランであることからも分かるように、ダマスクローズはもともと寒さや乾燥に強い植物。
イランのダマスクローズは、水分が少ない環境で生き延びることができるように力強く根を張り、厳しい寒暖差に耐え、2,700mもある山岳地帯でも子孫を残せるよう、花から甘く濃厚な香りを出して生きているのです。
その姿は砂漠の中にありながら生命力にあふれており、印象的なコントラストを描いています。
ブルガリアでは広大な畑に整然と並んだダマスクローズが収穫されていますが、イランのダマスクローズは自然の状態で育てられているため大量生産ができず、希少価値が高くなっています。
イランのダマスクローズの魅力は、厳しい自然環境による濃厚な甘さと野生のスパイシーさが合わさったバラの自然な香りにあるのです。
乾燥が強く、体臭を嫌うアラビアやペルシャ(現在のイラン)では古来より香水文化が発達し、その中でもバラは高貴な香りを誇っていました。
また、ダマスクローズの花を水蒸気蒸留してできたバラ水(ローズウォーター)は、日常的に飲料や料理につかわれ、花びらは食用として料理やジャムにも使われています。
イランのダマスクローズの花は、香りを逃さないように1つ1つ伝統的に手摘みで収穫されます。
というのも、機械で一斉に収穫しようとするとダマスクローズの最大の魅力である香りを逃してしまうためです。
また収穫のタイミングも重要です。
ダマスクローズがもっとも濃厚な香りを放つ早朝に手摘みすることで、さらに香りを花の中に閉じ込めることができるのです。
大変時間がかかる作業ですが、最高品質のダマスクローズを収穫するためには必要なことなのです。
イランでは、現在でも昔ながら機材と方法でじっくりと水蒸気蒸留し、ダマスクローズの成分を抽出しています。
これは他国のように大量にすばやくローズ水やローズオットーを取り出す方法としては不向きですが、科学が発達した現代においてもイラン伝統の水蒸気蒸留法が体に優しく、ダマスクローズそのものの成分を最大限に引き出す方法であることが判明しているのです。
イランに生まれ、日本で暮らすランディー・マッスル(ミスター・マッスル)は、日々乾燥と戦っている日本のみなさんを見て、故郷のイランのダマスクローズがなんとか役に立たないかと常々思っていました。
そこで数年前に「nini(ニニ)」というコスメブランドを立ち上げ、現地のダマスクローズを栽培する農家に直接かけあって、希少なイランのダマスクローズを入手できるように交渉しました。
そうすることで、次のようなメリットがあります。
それを自分でイランから日本に持ち運び、信頼のおける日本の加工工場の最先端の技術協力のもとで製品化に成功、天然成分だけで作ったダマスクローズのバームやオイル、ローションを手に入るお値段でお届けできるようになったのです。
niniのダマスクローズ製品は、さきほど紹介したイランの中でも最高ランクといわれるカシャーン地方のダマスクローズのみを使っており、その魅力が十分引き出されたものとなっています。
さらに、通常は水蒸気蒸留法で水とダマスクローズからローズオットーが作られますが、niniでは水の代わりにダマスクローズ水を使ってローズオットーを抽出しています。
これは非常に手間暇がかかる抽出法ですが、心身の安定に効果的と言われる新鮮なダマスクローズの香りをしっかり閉じ込めるために重要な工程です。
その香りの違いは明らかです。
抽出方法 | 香り | |
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通常 | 水+ダマスクローズ | 普通 |
nini | ローズ水+ダマスクローズ | 強い |
ぜひ、イランの高品質なダマスクローズ製品をniniでお試しください。
あらゆるシチュエーションでダマスクローズの香りが楽しめます。